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ノラ犬と散歩|by リトルキヨシ

2007年10月03日

青いブリンク

真夜中・日付が変わる頃、突然横切る黒い影。
長い触角、ぬらぬらとボディーを照からせたヤツが部屋にあらわれた。
目が合うやいなやすぐさま逃げ込んだのは積み上げられた本の下。
お久しぶりね、ここであったが100年目。叩っころしてやる!
と勇ましくなりたいところだが、所詮は俺もただの人。
大方の反応よろしくビビリまくりの及び腰。
なんてこった、ただでさえ鼻づまりで具合がよろしくない時にどういうつもりだ。
最悪の夜だぜっ!と嘆いたところで始まらない。
一瞬だが目にしたヤツはかなりのサイズ。
この部屋で産めよ増やせよやられたら・・・
そう考えると是が非でも今夜始末をつけなくちゃ。

だがそもそもヤツを目にするのも嫌なのに、
取り逃がしたあげく近くの本棚に逃げ込まれたりしたらどうしよう。
どかした本に一緒についてきて触れてしまったらどうしよう。
本をどかしてもそこには居なくて予想外の所にいたらどうしよう。
などなど考えてしまいどうにも覚悟が決まらない。
ブリンク、こんな情けない俺にも君は勇気をくれるかい?

迷い悩む事数十分
永遠に続くかと思われるその時間に踏ん切りをつける時がきた。
三度大きく息を吸い込んで
どかしたっ! いたっ! 叩くっ! 叩くっ! 叩くっ!
激しく振るうはスリッパのタクト、響く真夜中の交響曲。
残したモノは一つの骸。
終わった、全てが終わった。

俺はヤツに勝利した。一昨日きやがれ、バカヤロー!
ガッツポーズを作り歓喜して呼吸が落ち着いたその後に空しさが押し寄せた。
果たしてヤツは俺に何をした?
想像力を目一杯働かせて、無駄にヤツへの恐れを膨らませ
必要以上にヤツを恐れて一体俺は何をした?
ヤツだってひとつの命、
ティッシュでそっと捕まえて外に放すことは出来なかったのか?
否、俺にはそんな度胸はないよ。
あれが俺の精一杯だったし、それはこれからも変わらないだろう。
俺のリアル。

画面の中ではジャックバウアーが次々と降りかかる困難を
アタマとカラダをフルに使って仲間とともに乗り越えている。
窓の外にはただ真っ暗な夜があるだけ。
俺の青いブリンクは闇の向こうに消えてった。
そこんとこ!

投稿者 2-peace : 15:52 | コメント (0) | トラックバック (0)

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