2009年05月09日

omoide

小学生の頃のボクは
たいがい夜は9時過ぎに布団に入る健康優良児。
隣は薄いドア一枚で隔てられた8歳年上の姉の部屋。
姉の部屋からうっすら以上はっきり未満で聞こえてくる
矢野晶子とか大貫妙子とかその他諸々の音楽がボクにとっての子守唄。
いつ頃からかそのラインナップの中に
とても耳障りの悪い声で歌う男の人が入りこんだ。
寝付きが悪くて、ひどい日は一時間くらい
布団の中でまどろむことも出来ずに
うだうだと過ごしていたボクのその人の第一印象は
嫌な声だな～こんな変な声でもプロになれるんだ、ってのと
小学生ながら「こんな夜にお前に乗れないなんて～♪」
って言葉になにやらエロチックなものを感じたくらい。
その後もちょくちょく姉の部屋から聞こえてくるその声が
いつからか嫌じゃなってた。

中学生になり音楽には寝ぼけ眼ながら
自分のCDプレイヤーとギターを手に入れた。
高校生の頃だったかな？
ある日友達が「このCDカッコいいよ」と
持ってきたのが「RCサクセション」だった。
知らないバンドだ。とりあえず聞いてみるか
とデッキのプレイボタンを押して驚いた。
小学生の頃に散々聞かされたあの声が聞こえてくるじゃないですか。
いや、きっと他人の空似だ。ちょっと声が似てるだけさ。
なんて思ったけれどどう聞いたってあの声です。
確かな確証がないまま曲は流れ
そのうちスピーカーから「こんな夜に～」と聞こえてきて・・・。
今まで声だけしか知らなかった謎の男の正体みたり！
音楽がどうのこうの一切関係ないところで
興奮したのを今でもはっきり覚えております。

それからのボクの人生はキヨシロー抜きでは語れない、
というほどのめり込んだわけではないけれど
いつもどこかで鳴ってた音楽。
横浜に来て遅まきながら初めて聞いた「タイマーズ」は衝撃的だった。

この人はいくつになってもロケンロー！ってやってんだろうな。と思ってたし、
80歳くらいでも当たり前にステージに経つ姿が鮮明にイメージできた。
だから癌になったって聞いた時もキヨシローなら余裕でしょ
としか思わなかった。

去年、華々しい復活を遂げたキヨシローのライブを
ボクはアラバキロックフェスで初めて体感した。
キヨシローとゆらゆら帝国とエレカシのライブは
一緒のイベントに出る日まで観ない！
というボクの中の約束はその日一気に果たされた。

初めての、そして最後のキヨシローのライブはとてつもなかった。
感動って言葉じゃ全然足りない。
涙が出てきてでっかい声で叫ばずにはいられなかった。
ライブが終わって携帯電話を紛失したことに気付いた。
絶対に見つからないだろう、と思いつつ「落し物センター」に行ったら
泥だらけのボクの携帯がきちんと届けられていた時も
「さすがキヨシロー！観た人の心を愛で満たしちゃうんだもん。
あんなライブやられた直後は10万円入りの財布でも届けちゃうね。」
なんて思ったりした。

どっかまだ実感はない。
けど今日も僕等は間違いなく間違いだらけの現実を生きております。
久しぶりに晴れてよかった。
帰ったら洗濯物が待ってます。
そこんとこ！

投稿者 2-peace : 19:46 | コメント (2) | トラックバック (0)